01.町 東伊豆という土地、地元密着の宿

伊豆半島東海岸の中央に位置する東伊豆町。温暖な気候に包まれ、良質の温泉と豊富な魚介類の水揚げを誇る漁港に恵まれています。東伊豆という豊かな土地と温かく見守る人々との絆が、おもてなしの心を形にしています。

東伊豆の魅力、水揚げの歴史

東伊豆町稲取といえば、「稲取金目」と呼ばれるほど別格の扱いを受ける金目鯛があります。稲取の金目鯛漁業の歴史は古く、明治時代まで遡り、大正時代からは立縄釣りという一本釣りが行われるようになりました。立縄釣りによる金目鯛の漁獲量は稲取が県内1位。一尾ずつ丁寧に魚を扱う立縄釣りの金目鯛は傷がなく良質で、さらに水揚げ後、新鮮な状態で出荷されます。金目鯛をはじめ、伊勢海老や鮑などの高級食材が揃うのは東伊豆の良港があればこそ。

早朝、誰よりも早く、北川の港へ向かう

朝5時、料理長の上島さんは宿のある稲取から、東伊豆町・北川(ほっかわ)の漁港へ。稲取の漁港だけではなく、北川の沖合に仕掛けられた定置網漁で獲れる鮮魚を求めて車を走らせるのです。浜の湯では、お客様に良質の食材を提供するために東伊豆の各地から魚介類を仕入れているのです。まだ明けきらない朝の海。カモメが舞う沖合で2艘の船が定置網を引き上げ、港に到着。その水揚げを上島さんは固唾をのんで見守ります。

イカ、イサキ、尾赤アジ、ワラサなど、大きなコンテナから溢れる魚たち。コンテナの氷水に手を入れ、上島さんは素早く良魚を選び出します。誰よりも真っ先に入手した良質の鮮魚は、料理長の卓越した技で見事な料理に仕立てられます。東伊豆の良質な食材をいかに美味に導くか。上島さんは東京の著名な飲食店などに出かけ、料理のヒントを探すといいます。若きアイデアと伝統の料理法を駆使し、お客様全員に満足していただく料理を提供しています。

稲取という町と、浜の湯という宿

浜の湯が懇意にしている「吟酒むらため」。浜の湯に酒を卸している地元の酒販店で、多くの地酒を扱っています。主人の村木さんは27歳の時に稲取に帰省、実家の店を継ぎました。東伊豆の美味しい海産物に合う静岡の酒を、という気持ちが、浜の湯の鈴木社長と意気投合。「昔は酒屋は旅館にただ、酒を卸すだけでしたが、今は違います。鈴木社長は勉強熱心で、料理ごとに合う様々なお酒のマリアージュも考えていらっしゃる。私も静岡の蔵元をはじめ多くの酒の造り手の想いを伝えていきたいですね」と村木さん。村木さんは浜の湯の新人スタッフにドリンクセミナーも行っています。

DATA
吟酒むらため
静岡の地酒をはじめ、ワイン、貴重な伊豆七島の焼酎など多くの銘柄を備えています。
静岡県賀茂郡東伊豆町稲取1279-1
電話番号 0557-95-2640
営業時間 9時~20時
定休日 水曜日

村木さんは、刺身には袋井市の名酒「國香」の純米吟醸、金目鯛の煮付けには沼津の「白隠正宗」特別純米酒がおすすめと言います。このマリアージュは実際に宿で味わうことができます。村木さんをはじめ、浜の湯には地元に多くのサポーターがいます。地元に密着する宿として、長年愛され続けています。

稲取温泉には、古く江戸時代後期の頃より、娘の成長を願う母や祖母手作りの「つるし飾り」を雛祭りに飾る風習が伝わっています。

東伊豆イベント情報
雛のつるし飾りまつり 2014年1月20日~3月31日
http://www.inatorionsen.or.jp/hina_sp/
河津桜まつり 2014年2月5日~3月10日
http://www.kawazu-onsen.com/sakura/sakura.htm