修行中、木と向かい合う日々だった平尾さん。「最初の4年間はひたすら水やり。とはいっても、樹種や樹齢などで一つひとつ違います。日本一と言っていいほど園内には多数の木がありますが、そのすべての状態や所在を把握していましたね。おかげで、今では瞬時に木の状態や関節などあらゆることがわかります。修行をひた向きに繰り返し、体で仕事を覚えているので、盆栽を目の前にすると、頭で考えなくても勝手に手が動きますよ」。

イタリアやフランスなど欧州にも愛好家は多いそう。「2009年に初めて海外で活動したとき、どの国でも“BONSAI”が予想以上に知られていて驚きましたね。2013年は11か国を訪ね、ワークショップやデモンストレーション、展示などを約100回行いました。伝統を伝えつつも押し付けるのではなく、楽しんでもらうことを大切にしています。今後も国内外問わず積極的に活動し、いずれは自分の盆栽園を持ちたいですね」。